ジョン・グリシャム(白石朗訳) 『原告側弁護人』(新潮文庫)
    (John Grisham)


   原題は『The Rainmaker』で、ジョン・グリシャムの長編第6作。

    「レインメーカー」というのは、所属する法律事務所に多大な利益をもたらすような

   コネを所有している弁護士を指す俗語とのことだそうである。


   主人公は、テネシー州メンフィスのロースクール卒業を目前にした苦学生の弁護

   士の卵、ルーディ・ベイラー。

    ルーディは、難癖をつけて骨髄移植治療への保険金支払いを拒否する巨大保険

   会社を相手に、バッドフェイス(責務不履行)訴訟を提起するが、やっと就職した怪し

   げな法律事務所の雇い主(弁護士)は、警察に追われる身となり、行方を隠してしま

   う。


   そのため、ルーディは、実務を知らないままいきなり法廷に立つ羽目になり、保険

   会社側の強力弁護団を相手にして、悪戦苦闘が始まる。ルーディの最大の武器は、

   その熱意と行動力と、この訴訟の他にめぼしい依頼案件がなく、十分に時間を割く

   ことができることである。


   導入部は少し話がもたもたした印象だったが、保険会社に標的を定めた以降は、

   見事な展開で一気に読み切ってしまった。とくに法廷場面は見事な出来で、新米弁

   護士ルーディと百戦錬磨のベテラン大物弁護士とのやりとり、証人尋問等は、私自

   身の経験とも重なるところも少なくなく、引き込まれる。


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