溝口式PCファイル整理法    


私のパソコン・ファイル整理法を紹介します。
                                                                April 1999
【はじめに】
 私がパソコンを使い始めたのは、1996年の春頃からですが、それまではワープロ専用機を
使用していました。ワープロ専用機でも、文書作成にはとくに不都合はありませんでしたが、
最大の悩みは、文書ファイルの保管方法でした。ワープロ専用機では、そのハードディスク
の中に区切られた机の引き出しのような複数のスペース(キャビネット)に、文書の種類・
内容によって文書ファイルを分類して整理していました。
 しかし、すぐにキャビネットが一杯になってしまい、フロッピィ・ディスクに保管した
り、分類を整理し直したりしていましたが、もっとうまく整理ができないものかと思ってい
ました。
 パソコンであれば、大きなハードディスクも利用でき、もっと便利なファイルの整理が可
能なのではないかと考えたことが、私がパソコンを利用するようになったきっかけです。
 とはいっても、私は、パソコンについてはもとより詳しくはなく、最近でこそ、電子メール
やインターネットを少し使っているものの、主にワープロ機能を利用している程度のものに
すぎません。

【<『超』整理法方式>によるファイル整理】
1 パソコンによって何かの文書を作成した場合に、すぐにその文書を保存しておく必要が
生じます。こういうときに、まず最初に悩むのは、作成したファイルの名前をどのように
つけるかです。パソコンやソフトのマニュアルをみても、ファイルの名前のつけ方や、
ましてやファイルの整理の仕方までは、説明されていません。
 しかし、ファイルにどのような名前をつけるかが、実は、毎日増えていくファイルの整理
に重要な関わりが生じてきます。パソコンについては、その利用法に関する本が数多く出て
いますが、ファイルの整理法について論じたものは、それほど多くないようです。

2 その中で、ファイルの整理法について取り上げ、極めて有益な解決法を示唆されたのが、
野口悠紀雄氏です。
 私のファイル整理の基本的な発想は、野口氏の「ファイルを時間順に並べる」という
<「超」整理法方式>によっており(『パソコン「超」仕事法』(講談社)134頁以下、
『「超」整理法』(中公新書)105頁以下参照)、これを私なり工夫したものです。

3 ファイルの整理については、パソコンを使う方が、それぞれ工夫していることと思い
ますが、多くの方は、「内容によってファイルを分類する方法(図書館方式)」、すなわち、
法律事務所でいえば、依頼者や事件、テーマや仕事の種類等の内容によって分類し、
それに対応するフォルダを作成して、その中にファイルを入れる方法を取っているのでは
ないかと思います。
 私は、この「図書館方式」にも多くの利点があることを否定するものではありませんし、
その方式を従として一部に採用することも有効であると考えます。
 とくに<『超』整理法方式>は、使用している本人にとっては便利ですが、他の人が
ファイルを探す場合には不便なことを認めざるを得ません。「図書館方式」の方が、他の
人がファイルを探す点では、楽かもしれません。但し、これはわかりやすい分類がなされ、
かつ、それがしっかりと管理されていればという前提があります。
 しかし、野口氏が指摘するように、扱うファイルの数が多くなってきますと、「図書館
方式」では対応できなくなってくるというのは、当たっていると思いますし、その方式の
前提となる「分類」「管理」の作業は、なかなか面倒な大変な作業だと思います。

4 この点、<『超』整理法方式>は、「分類」を行わず、内容のいかんにかかわらず、
ただ作った順に時間順に保存していくだけですので、とくに面倒な作業はありません。
 具体的なディレクトリィの構成やファイルの名前のつけ方は、後に紹介しますが、一番
心配な点は、「分類」せずに、ただ時間順に保存しただけのファイルが、次に使用する
ときに、効率的に見つけられるかということだと思います。
 この点は、ファイルの名前のつけ方をどう工夫するかに大きく左右されますが、後述の
ファイルの名前のつけ方で、これまで3年余り<『超』整理法方式>を採用してきた経験
では、ファイルを見つけだすことに困ったことはありませんでした。野口氏の説くように、
頻繁に利用している「ワーキングファイルはすぐに見つかる」し、「時間順には強い人間
の記憶」というのも、当たっているように思います。

5 また、私の場合には、ファイルの名前のつけ方を工夫し、ファイル名の最初の半角4
文字分(全角2文字分)を「内容」を現すものにし、次の半角2文字分を「依頼人の略号」
としましたので、ファイル名と「時間順」を検索キーとして用いることで、かなり機能的に
探し出せました。
 さらに、「一太郎8、9」を使用するときは、ファイル名のほかに、「見出し」を利用
できますので、「一太郎8、9」の「開く」の中をツリー表示にしておくと、上記の検索
キーと「見出し」を利用して、かなり容易に目的のファイルを見つけだせます。なお、上記
のファイル名の検索キーは、Windows95や98の「検索」機能を利用する場合にも、有効に
活用できます。
 これを利用するには、Windows95、98の「エクスプローラ」(「スタート」→「プロ
グラム」を開くと、その中にあります)がとても便利ですので、私は、このショートカット
を作成して、「エクスプローラ」をデスクトップに置いています。
 実際にファイルを探す場合には、「エクスプローラ」か、または「一太郎8、9」の
「開く」を利用しますが、いずれにも「更新日時」というバーがありますので、これを
クリックしますと、時間順(昇順、降順)に並び替えることができますので、「時間順」
の検索キーを有効に活用できます。

【具体的なファイル整理法の紹介】
1 文書フォルダ及びディレクトリィの構成
 まず、文書フォルダは、下記のような階層構成でディレクトリィを作成します。
 「文書1998」のフォルダには1年分の「9801」〜「9812」までのフォルダが、また
「文書1999」のフォルダには今月分までの「9904」のフォルダを作っています。
 なお、フォルダというのは、文書ファイルを入れる袋か引出しのようなものですが、
「エクスプローラ」を使って、「ファイル」→「新規作成」→「フォルダ」を順次開く
ことにより、容易に階層構成で作成できます。

  <ドライブC:>       
    「文書」 
        「文書1998」 
            「9801」     1998年1月
            「9802」      98年2月
              :            :
            「9812」         98年12月
         「文書1999」 
            「9901」     1999年1月
              :             :
            「9904」      99年4月

 作成したファイルは、内容に構わずに、当該月のこのフォルダに入れて保存します。
今までの経験ですと、1か月で200〜300位のファイルがたまります。

2 ファイルの名前のつけ方
 <『超』整理法方式>の場合には、ファイルの名前のつけ方が検索キーをどのように
設定するかに関係しますので、とても重要になります。
 Windows95、98では、ファイル名を長くすることもできますが、<溝口式>の場合は、
テキストファイルにもすぐに直せるように、半角8文字分を使用して、ファイル名を
つけています(もっとも、テキストファイルにする必要がある場合はさほどありませんが、
半角8文字分に統一しておくと、ファイル名が綺麗に整理できるメリットがあります)。
 なお、拡張子(ピリオド以下の半角3文字分)は使用していません(この点は野口式と
異なります)。野口式では拡張子を利用していますが、拡張子を利用すると、テキスト
ファイルになってしまい、一太郎ファイル等(一太郎8、9の拡張子は「.jtd」)になり
ませんので、<溝口式>の場合は、拡張子を使わないことにしています。

 <溝口式>のファイル名は、具体的には次のようにつけます。
      □□□□ □□ □□.□□□ 
   (例)  @    A   B
         訴状  NS    02  (拡張子は利用しない)
         準備  TK    05
         報告   MZ    12
         書送   TN    15
     (内容)(依頼人)(日付)

@半角8文字分の初めの4文字分は、ファイルの「内容」を端的に現すものを漢字2文字で
つけます。半角アルファベット4文字でも良いのですが、漢字2文字の方が見やすく、かつ
情報量が多いと思います。ただ、「FAX-」(ファクシミリ送付状)、「メモ」のように、
漢字を用いない例外もあります。この部分の名前をつけるのには、そんなに厳格に考えて
おらず、そのときの気分でつけているのもありますので、同じ名前にすべきものが、別の
名前になっているのもあると思います。ただ、これまでの経験では、細かく分け過ぎると
忘れてしまうので、すぐに思い浮かぶものにして、あまり細かく分けない方が良いようです。
私の場合には、数えてはいませんが、20〜30位あるかと思います。
 ちなみに、上記の「準備」は準備書面、「報告」は報告書、「書送」は書類送付状です。
 私の他の例ですと、「答弁」(答弁書)、「和解」(和解条項)、「調停」(調停申立
書、調停条項)、「上申」(上申書)、「競売」(競売申立書その他競売関係の書類)、
「通知」(通知書、回答書)、「契約」(契約書、合意書)などを適宜使用しています。

A半角8文字分の次の2文字分は、依頼人等の名前を半角2文字のアルファベットで現し
ます。よく使う顧問会社等は覚えやすい独自の略号を使用しています(たとえば、日弁
商事(Nitiben Syouji)は「NS」、東弁建設(Touben Kensetu)は「TK」といった具合
です)。そうでない依頼人等については、ローマ字読みにして初めの子音2文字(AIUEOの
合はその母音)を原則としています。「溝口(Mizoguchi)」という依頼人なら「MZ」に
します。そのため、「田中(Tanaka)」は「TN」となり、「谷口(Taniguchi)」や
「角田(Tunoda)」も「TN」となってしまいますが、気にせずに同じ「TN」にしています。
 なお、裁判所は「C」とし、地名をつけています(東京地裁、東京高裁、東京家裁、
東京簡裁は同じになり「TC」。八王子支部は「HC」。横浜地裁は「YC」、浦和地裁は
「UC」、千葉地裁は「CC」です)。書類送付状やファクシミリ送信案内は、送付先の人や
組織の名前を上記の基準でつけています。

B半角8文字分の最後の2文字分は、ファイルの最初の作成日をつけています。
 そのため、月ごとのフォルダとあわせると、最初の作成年月日が特定できることになり
ます。たとえば、「9904」のフォルダにある「報告TN15」のファイルは、1999年4月15日
に当初作成されたファイルということになります。
 なお、たまにですが、同じ内容のファイルを同じ日に複数作成することがありますので、
注意を要します。たとえば、同じ4月15日に田中氏に報告書を2通作成した場合(あるいは
田中氏と谷口氏に報告書を作成した場合も同じです)には、上記の基準によりますと、
「報告TN15」のファイルが2通できてしまい、そのまま保存すると、前のファイルが後の
ファイルによって「上書き」されて消えてしまいます。そのため、これを区別するために、
後に作成するものは、便宜的に日付を遅らせて「報告TN16」としています。3通以上同じ
ファイルができるときも、同様です。これまでの経験では、この扱いで、さほど支障は
生じていません。

3 文書ファイルの探し方
 このような私の整理法ですと、過去に作成したファイルを探したい場合に、結構、威力を
発揮します。たとえば、訴状を作成する場合に、自分の作った最新の訴状の書式を利用しよう
というときには、その作成の時期(何月頃だったか)を覚えていれば、「エクスプローラ」
で、該当月の文書フォルダ(1999年4月であれば、「文書99」の中の「9904」のフォルダ)
を開き、「名前」のバーをクリックすれば、名前順に並び替えられますので、容易に「訴状」
のファイルが探せます。これがうまくいかない場合(いつ頃作成したかの記憶が不明な場合)
には、Windows95、98の「検索」機能を利用します。「スタート」→「検索」→「ファイルや
フォルダ」を順次開いていき、<検索:条件=>の「名前」欄に、「訴状」を入力し(依頼人
の名前・田中を思い出せれば、その名前の初めの子音のアルファベット2文字を入れて、
「訴状TN」とします)、探す場所を必要に応じて指定し(一つのドライブすべてを指定しても、
さほど時間はかかりません)、「サブフォルダも探す」にチェックを入れて、検索をかければ、
該当する訴状のファイルがすべて出てきます。後は、「更新日時」のバーを利用して、
容易に最新のものが探し出せます。

4 ワーキングファイルの携帯
 また、「9904」のフォルダのように、文書フォルダを1か月単位にしておきますと、この
フォルダの内容をそのままフロッピィ・ディスクにコピーすれば、容易にワーキング・
ファイルを持ち歩くことができ、自宅のパソコンで利用できます。また、このフロッピィ
・ディスクは、万一の場合のバックアップ・ファイルの役目も兼ねることになります。
 私の場合は、フロッピィ・ディスクが2枚入る携帯用ケースを鞄に入れており、この2か月
分のワーキング・ファイルを持ち歩くことにより、自宅でもパソコン使って仕事をすること
ができ、重宝しています。