トルコの笑顔
「そよ風通信」第6号
 正月にトルコに行ってみた。アジアとヨーロッパの接点,かつてのビザンツ帝国1千

年の都,イスタンブル。最近,興味を持っている地中海文明の華やかな一時代を築い

た地。荘厳なモザイク画が残るアヤ・ソフィア,綺麗な幾何学模様で飾られたブルー・

モスク,いずれも期待を裏切らないものであった。

 しかし,それと並んで心に残ったことがある。トルコはとても親日的な国と聞いていた。

メルハバとあいさつすると,ときには日本語のコンニチハと,笑顔が返ってくることも少

なくない。トルコ語のありがとうを言おうと,テッ,テシュクル…と詰まっていると,逆に

テシェキュル・エデリムとニコニコして教えてくれる。観光客が立ち寄るような店では,

流暢な日本語で話しかけてくる。日本で勉強したのかと聞くと,そうではない

という。

 ガイドの話では,親日の理由を説明していた。父親の権威が強いこと,大家族で暮

らしていたこと,家に入るときに靴を脱ぐこと,床に直に座ること,トルコ語の語順が日

本語と似ていることなど,トルコの文化が少し前の日本文化と似ているほか,アジア

の端の国で,かつて欧米を相手に果敢に(無謀に)戦争をしたことも,好感をもつ理由

らしい。

 これに対し,日本側では,あまりトルコのことは知っておらず,片思いのような気がし

た。しかも,現在の日本の姿をどこまで知ってのことなのか。

 昨年を象徴する漢字が「偽」とされたり,今の日本の実情を知ったら,100年の恋も

冷めてしまわないか,気にならないでもない。遠い国の人々の期待を裏切らないように

努力するとともに,こちらも笑顔では負けないようにしたいと思う。

                                      (2008年2月)

                                       弁護士 溝 口 敬 人