コンプライアンス
「そよ風通信」第5号
 ここ数年,とくに企業のコンプライアンスに対する考え方が急激に変化しているよう

に感じます。自由競争,規制緩和が強調され,行政の後見的な保護が弱まり,能力

のない企業は市場からの退場を求められかねません。

 コンプライアンスは,法令遵守と訳されていますが,法令を守ることは当たり前の

ことであり,本当の意味は,法令だけでなく,企業倫理や自主ルールを自ら守り,社

会的な要請にしなやかに対応することにあるのだと思います。そのためには,社会

的な環境の激変を感知する「鋭敏な眼」が大切になります。このような問題について,

相談を受けることも多くなってきましたが,他人ごとではなく,弁護士自らの職業倫理

とも重なる点が少なくありません。

 どのようにして「鋭敏な眼」をもてるようにするか,難しい問題ですが,相手方の立場

から考えてみるということが手掛かりになるように思います。事実は一つでも,事実は

多面性を有しており,観察の主体によって見え方が違うことはよくあることですし,自

分に都合のよいことしか見えないという面があります。相手方の立場に視点を移して,

相手方の気持ちを想像してみることで,自分の勝手な考えに気づくことができ,軌道

を修正することができるのではないか。消費者(顧客)の立場から考えることで,社会

的な要請を感知できるのではないか。企業倫理というのは,想像力や思いやりのこと

ではないか。

 コンプライアンスや紛争解決ということを考える中で,最近は,このようなことを考え

ています。

 今後とも引き続き,ご指導ご鞭撻をよろしくお願いいたします。

                                      (2007年2月)

                                       弁護士 溝 口 敬 人