解決困難な事件の増加
「そよ風通信」第15号

  和解や調停で円満解決できることが多いのですが,春先から初夏にかけて判決を

もらう事件が6件もあります。こんなことは初めてです。最高裁判所が2015年7月に

公表した裁判の迅速化に係る検証結果(第6回)では,質的に解決困難な民事訴訟事

件が増加したとし,統計上も双方に弁護士が選任される事件や審理に時間がかかる

事件が増えたことを指摘しています。また,当事者の法的意識や自己主張が強まり,

インターネット普及により情報を容易に収集できること,弁護士が依頼者と信頼関係を

築くことが難しくなり,依頼者への十分な説明や説得ができなくなっていることを指摘し

ています。

 他方,民事訴訟の実務においては,争点整理の充実と迅速化の工夫が進められて

います。争点整理は,法廷でなく弁論準備として小さな部屋で行われることが多く,

提出した主張書面や証拠書類を前提に,裁判官との活発な口頭での議論が期待され

ます。そこでは,裁判官から疑問点の指摘のほか,暫定的な心証開示がされることも

あり,解決方針を修正したり和解検討をしたりする上で極めて重要な意味をもちます。

争点整理ができ人証調べを終えると判決までは比較的早いのですが,争点整理が

なかなか厄介で,モタモタしている印象をもたれるかもしれません。

 解決困難な事件では,重要な争点整理の期日に,依頼者本人や企業の担当者が

出席して生のやりとりを見聞し,裁判官の心証を含めた審理状況を直接に確認する

ことが,どのような解決を選択するかを検討する上で,とても有益です。機会があれば

ご一緒しましょう。

                                       (2016年3月)

                                  弁護士 溝 口 敬 人