紛争の複雑化・先鋭化
「そよ風通信」第13号

 2013年は,私の弁護士登録30年の年でしたが,従前の事件・相談の対応,大学

での講義に加え,新たに日弁連(日本弁護士連合会)の倫理関係の業務,行政庁の

業務が加わったことから,例年になく忙しい年でした。同世代の者がそろそろ定年の

ことを口にするのを耳にすると,期待されて新しいことをさせてもらえるのは,幸運な

ことだと思います。

 事件対応では,判決となることが増えた上,高等裁判所での審理が4件もあり,これ

はたまたまなのかもしれませんが,近ごろは,何だか紛争が複雑化し先鋭化している

ような印象を受けます。

 2013年7月に公表された最高裁判所の裁判の迅速化に係る検証(第5回)の報告

書を読みますと,社会に潜在化していた紛争が法的紛争として顕在化して増加すること

が見込まれ,紛争の内容も,複雑化・多様化し,先鋭化する可能性があるとしています。

その要因として,少子高齢化の進行,家庭の機能の低下,地域コミュニティの弱まりと

いった社会の変容,法的解決を躊躇する意識の変化,法曹人口増加による法的アクセ

スの容易化等を指摘しています。

 法的解決の増加は,法の光が社会の弱いところまで届くということでなければなりませ

ん。法や権利を言うことは,何だか世知がらいと思うかもしれませんが,それは強者の見

方でしょう。とはいえ,何でも法的基準で解決できるわけではなく,それが最良とも限りま

せんので,そこが「社会生活上の医師」としての弁護士の腕の振るいどころなのでしょう。

                                       (2014年3月)

                                  弁護士 溝 口 敬 人